【学校紹介】聖学院中学校・高等学校 前半(インタビュー)

学校紹介:インタビューNo.121

聖学院中学・高等学校

北区中里3-12-1

世界のために共に創造し、貢献しよう

男子校

今回インタビューに答えてくださった
広報部長 早川 太脩先生

👇👇👇インタビュースタート👇👇👇

✐✎✐✎まずは✐✎✐✎

A1: 全学年5クラスずつで運営しており、中学が550名、高校が433名です。

A2: 2021年度に新設した『Global Innovation Class』のみ高校受験することができます。

A3:すべての教育活動が『Only one for Others』につながる形で展開しています。『授業』『体験学習』『グローバル教育』+『STEAM教育』の4つの柱がそれに向かって行われています。

『Only one for Others』という言葉はキリスト教育の中の『賜物』という言葉を意識して作られている言葉です。Only one』とは、彼ら(生徒達)に才能やタレントが与えられているという確信に基づいて、6年間で『賜物』一緒に見つけ、磨いていきます。また、見つけた『賜物』・気づいた『賜物』を他者に向けて、社会に向けて、世界に向けて貢献できるようにしていきます。それが『for Others』です。

それを前提に置き、『授業の中では『ICEモデル』という授業を展開しています。『ICEモデル』とは、生徒たちが自身の『Only one』をキャッチアップするためにも、表現を磨き、成果物として多くのものが出てくるようにするために、すべての授業の中で問いを大切にしている授業です。問いを基に、彼らがこの学問や単元を学ぶのか、自分で考えながらストーリー立てができる形で『ICE』の3種類の問いを使いながら授業を進めます。

『体験学習』は、中学2年生から高校2年生までの4年間、各学年全員で取り組む宿泊型の体験学習です。それもOnly one for Others』に繋がります。中学2・3年生の体験は、『Only one』を見つけたり、社会の中で自分の立ち位置を感じたりできるように展開しています。高校1・2年生の体験は『for Others』よりに展開しており、『社会に対して何ができるのか』を感じてもらえるような行事です。

『グローバル教育』では、”英語教育”と”グローバル教育”の2つに大きく分かれます。英語教育ではICEモデル』を上手に使って行われています。『ICEモデル』は本校が作ったものではなく、カナダのヤング博士が教育論文に書かれている授業のフレームワークです。その中で本校の英語科が大切にしたい事として、英語は他者とのコミュニケーションを取るための『ツール』だということです。生徒たちが英語で表現しようとすることを正しく評価したいと考えています。正しく言葉を書けたり、正しく言葉を話せたりすることよりも、生徒たちが自発的に英語で表現しようとする姿勢を授業の中で大切にしています。英語の授業は多くの話し声が聞こえてきます。本校の生徒達は元々英語を話せる子たちではありません、アルファベットから学ぶ子であっても自信満々に話すようになります。

また、海外研修も特徴的です。一つ目が英語圏の語学研修です。現地の文化を学び、言語でコミュニケーションを取ることを目的にしている研修です。行き先にはアメリカとイギリスがあります。

二つ目がプロジェクトベーストラーニング型(PBL型)の研修です。現地の文化や背景を体験し、学びながら、生徒たちが現地の困りごと対して、対策を考え、実際に実行してくることをベースにしている体験研修旅行です。

本校のタイ研修旅行はPBL型の海外研修として38年続いています。山岳少数民族が集まる施設があり、生徒たちはそこでお世話になりながら、現地の子どもたちとやり取りしていく中で、彼らに本当に必要なものを現地で提供ができるように時間をかけて準備をしていきます。事前準備をして計画したものをそのまま実行するのではなく、現地に行って感じたことや、感性を柔軟に取り入れながら実施することを大事にしている体験研修です。その他にも今年度はネパールで『MoG』というPBL型の海外研修を実施します。

 本校はSTEAM教育』に力を入れています。中学校の入学時に各ご家庭でiPadを購入していただいています。そのiPadを使って中学の間は学習をしており、高校のGlobal Innovation Classは、MacBookを使用します。その他のクラスは引き続きiPadを活用しています。

『Only one』の幅を広げるために、表現をするツールを生徒たちに身に付けてもらうことが中学の間はとても重要になっています。中学1年生では本校独自の『情報プログラミング』という授業が週1で展開しています。1学期には自己紹介を行うのですが、まずはキーボードを使って文字入力から始まり、的確に伝えるためにどのようにすればいいのか考え、写真を入れ、そこからプレゼンテーションソフトに落とし込み人に見せる物にしていきます。

また動画に発展し、30~60秒の『自分CM』を作ります。

2学期には、『プログラミングで何ができるのか』を考えてもらいます。『スクラッチ』というプログラミングソフトを使用してドローンを飛ばします。ドローンは世の中でどのように使われているかを考え、それ以上のことをするにはどのようなことがいいかを考えていきます。そしてドローンの使用の可能性を広げてもらいます。アウトプットの形でドローンの使い方を探究していきます。

3学期は3Dのモデリングを作ります。本校には『ファブラボ』という施設があります。3Dプリンターが常設しており、CADを使って3Dのモデリングをします。本校はキリスト教の学校ですので、聖書の授業があります。その授業とのコラボレーションで『クリスマスツリーに掛けるオーナメント』をモデリングします。形はすぐに思いつきますが、オーナメントにするためにひもを通す部分を考えなければなりません。必要用途・目的に合わせてデザインしなければならないという、ものづくりの根底にある大切なものを意識してもらいながら、生徒たちに表現してもらいます。

1年間かけてツールを使うことで表現物は、文字だけでないということを感じてもらいます。1年間で学んだツールを使って中学2年以降はiPadを使って、いろんな教科で色んなツールで表現するように展開しています。

言語だけでない表現方法を学んでもらい、我々がキャッチします。『この子にはこのOnly oneがあるんだ』『賜物があるんだ』と気づく為にもこのようにしています。

『MoG』とは『Mission on Ground』の略になります。

A4:学校までの通学は禁止にしています。ただ、ご自宅から最寄り駅までは可能です。

A5:今年度入学した生徒は、北区、豊島区、板橋区、文京区といった近隣にお住いの方が増加しました。元々生徒の多い地区は、世田谷区、目黒区、港区です。少し距離はありますが、山手線沿線上にある学校ですので、乗り継ぎが1回で来られますし、地下鉄も使えるので南北線に続く目黒線沿線、東横線に続く沿線や、渋谷駅で乗り換えの田園都市線で通う生徒もいます。京浜東北線の上中里も利用できるので、埼玉県からも例年多く受験生がおり、近年は千葉県からも来ています。

A6:毎週日曜日に教会で行われている約1時間の礼拝ではありません。毎朝、全校生徒が講堂に集まり20分程度の礼拝を行っています。登校時間の8:15に鐘が鳴り、その時点で、教室で着席をしている状態です。そこで挨拶をし、連絡事項を伝え、聖書バックを持ち講堂へ移動します。8:24から礼拝がはじまり、8:50から授業が始まります。卒業生の話を聞くと、キリスト教の学校だと感じることが3つあります。

一つ目が礼拝の時間、二つ目が聖書の授業、三つ目が聖書の授業の中での「教会レポート提出」です。このレポートは学期に一度日曜日に教会へ行って礼拝を聞き、レポートを書き、提出をします。この3つがキリスト教っぽいと感じるところのようです。キリスト教徒を増やしたい学校ではありません。キリスト教育に共感している生徒が通っています。クリスチャンの生徒は学年に2名くらいです。

✐✎✐✎中学校✐✎✐✎

A7:授業の進み方は一緒です。入試にはアドバンスト入試 、一般入試、思考力入試の3つがあります。中学1年生はこの入試のみでクラスが決まります。一般入試で合格した生徒はRegular Class、Advanced入試で合格した生徒はAdvanced Classという形になります。思考力入試にはAdvanced合格とRegular合格があります。中学2年生以降のクラスは毎年入れ替えがあります。Advanced Classは2クラス、Regular Classは3クラス設置しています。メインは成績順ですが、ボーダーラインにいる上下20名の生徒は、プラスアルファー評価を見ます。それは『できたこと手帳』『自学ノート』の取り組みや学校での取り組みが前向きかどうかを見ています。

A8:英語は入学時から習熟度別授業を行っています。英語がよくできる生徒たちはSSコース、このコースでは全ての英語の授業をネイティブの教員が担当してオールイングリッシュの授業をしています。本校は帰国生の受け入れをしているので、帰国生の中で英語が堪能な生徒や家庭環境で英語が堪能な生徒がSSコースに入ります。中学1年生のみですが、Kコース(経験者コース)があります。これは英検3・4級を既に取得している生徒たち向けのコースで、1年で2級を取得すれば、SSコースへ入ることもできます。中学2年生以降は習熟度別授業になります。SSコース、Sコース、Aコース、Bコースに分かれます。Advanced Classは2クラスを4つのコース、Regular Classは3クラスを4つのコースへ分かれて授業を行います。

A9:L.L.TはLearn, Live Togetherの略になります。『共に生きること』を学びます。L.L.Tと呼んでいるのは中学1年生のみで、他学年では特別活動の時間や探究の時間になります。クラスは30~40名の生徒が集まる環境なので、『一緒に生きる』ということはどういうことなのかを、学年の先生や他学年の先生を含めて学んだり、ビデオを見たりします。入学した当初はオリエンテーションでアイスブレークの時間を設けて、このメンバーが一緒に入学した学年の仲間だと確認し、いじめの問題についても取り上げる授業になっています。

A10:生徒手帳(できたこと手帳)がA5版の少し大きめの手帳になります。左側がタイムスケジュール、右側が、自分が今日できたことを書き込めるようになっています。終礼の時間に自分作戦会議という時間を10分設けています。今日自宅で何時から何を勉強するかを左側に書き込みます。自宅で自学ノートを使って学習を進めたり、自分が知りたいことを調べて書いたり、学びになれば何をしてもいい事になっています。勉強後、右側に今日できたことを書き込みます。次の日に担任へ提出し、そこで細かくやり取りをします。終礼時に返却し、1人作戦会議を行います。

私自身中学校の担任をしていたことがあるのですが、1日に35人の生徒と面談をすることは不可能です。この取り組みは彼らとの短い時間の中で、コミュニケーションのきっかけになります。学習の進み具合、取り組み具合を細かく見ることができますし、生徒たちが学んだこと、学ぶべき計画書があるので、見比べてみることができ、そこで生徒と細かくコミュニケーションが取れ、学習サポートをすることができます。

A11:Global Innovation Classのみ高校の入学がありますが、高入生だけでなく内部生もこのクラスに入りますので、このクラスの生徒は高入生と同じクラスになります。Global Innovation Class は1クラスだけなので、3年間クラス替えがありません。

✎✐✎高等学校✐✎✐✎

A12: Global Innovation Classは、2021年に新設したクラスです。内部生には保護者会・学年集会の際に説明会を何度か行ったうえで、内部生の中で希望がある生徒には、英語のテストと志望理由書(活動経歴書)を書いてもらいます。英語は英検準2級を取得していれば英語のテストが免除されます。志望理由書では『このようなことがしたい』と明記して、自分のことをアピールしてもらいます。選抜の時期は10月、英語のテスト、志望理由書提出、面接が行われます。

Advanced ClassとRegular Classは、中学と同じようにクラス替えがありますが、高校2年から3年に進級する際は、理由がないかぎりクラス替えはありません。

A13: 英語と数学で習熟度別の授業を行っています。Global Innovation Classは、独自科目で授業(週13コマ)

を行っていますが、一般クラスと同じ授業を受ける部分がありますので、英語・数学では一緒にコース分けをして学んでいます。理科・社会も物理や世界史・日本史に関しては受講生が多いのでAコース・Bコースに分けて授業を展開しています。

A14:先ほどお話しした『ICEモデル』が本校の学びの特徴の一つです。

ICEとはIdeas』『Connections』『Extensions』の頭文字を取っています。『Ideas』は『知識がきちんと定着しているか』を確認できるような『問い』の形で思考高度を見ながら進めていきます。『Connections』は知識同士を結び付けたり自分と他者の意見を結び付けたりする知識の活用をいいます。『Extensions』はそれらを社会の課題解決に繋げていくように価値の創造、価値の発見につながるような問いの形を設定していくことをいいます。

例えば、中学2年生の社会(歴史)で行われている授業のひとつですが、聖徳太子を学ぶ授業です。『Ideas』では、『聖徳太子を知っていますか』中学受験をしている生徒たちなので、何をした人なのかは知っています。

『何をした人なのか』『その時代はどんな時代か』を確認します。

『Connections』では、聖徳太子が行った大きな2つのこと『17条の憲法』『冠位十二階を定めた』この2つは『どのように関係しあっていたか』この時代の政府は『この2つを定めて、国民に何を求めていたか』背景を考え、持っている知識と繋げて考えられる問いを考えます。

『Extensions』では、『あなたがこの時代に聖徳太子だったら、もう一つどのような政策をしますか。』その時代の時代背景や政府が求めていたことを自分なりに政府側の人間として、もう一つ何ができるかを考えます。

社会解決に近づけるような形で『Ideas』『Connections』『Extensions』とステップアップする問いを考える授業です。単元ごとで必要に応じてそれぞれの問いを考えています。

A15: GICはコース変更ができません。Advanced Class とRegular Classのクラス替えは、1・2年はありますが、2・3年はほとんどありません。

A16:多くのことで活用しています。先ほど実験(理科)をしてきましたが、レポートはロイロノートに提出ですし、ノート提出を先生方は良くさせていますが、試験直後の授業で手元にノートがないと生徒たちは勉強が進みません。その際にiPadで写真を撮ってノートを提出させています。これはベースの使い方です。授業の中では、スライド形式で発表してもらったり、中学の理科探究では調べたものを提出したりしていました。

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